木質パネルの生産構造の変化と今後の国際間競争について(自由論題論文,1995年秋季大会)
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概要
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1990年代に入り,世界の林産業は大きな転換点に立たされている。その最も大きな要因は,天然林丸太の伐採が困難となり,原料を人工林に転換せざるを得なくなったことで,林産業は切削機械のみを用いて製品を生産する産業から,木片,チップ,さらには木質繊維を接着したり加圧して建築資材を生産する産業へ転換せざるを得ない局面に立たされている。特に木質パネル部門にこのような動きが顕著であることから,本論では木質パネル産業の生産状況の変化,林産業にとって歴史的転換点ともいえる1990年代前半の原料供給変化の過程を構造的にとらえた。また国際間競争の場面においては,合板産業が斜陽化しつつある一方で,MDFを中心としたファイバーボードと,パーティクルボードの生産量が増加している。特に環太平洋地域においてはMDFを武器とした競争が激化する兆候があり,MDF生産国では世界第1位の輸入額を誇る日本の市場獲得が焦眉の課題となっている状況であり,林産業におけるさらなる資本の集中・集積が加速されるものと考えられる。
著者
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