フランスにおける暴動 : 都市暴力・若者・セキュリティ政策
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概要
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はじめに 2005年10月未から11月半ばにかけて、パリの郊外を中心にフランス全土で、大規模な「暴動」(emeutes)が起こった。4人の死者と多数の負傷者、およそ1万台の自家用車への放火、その他膨大な物的損害をもたらし、外国メディアからは<内戦>とまで(かなり大げさに)表現された。ただ、この現象の社会的意味を見定めることは、実はそれほど容易なことではない。暴動の発火点となった大都市「郊外」(banlieues)のフランス的特質や、郊外の大規模公営団地(シテ〔cite〕)に住まう移民出身の住民たちの来歴と生活の現状、(平時)でも1日に90台以上もの車が放火されるという「都市暴力」(violencesurbaines)と今回のような「暴動」の原因と特質、さらに、「郊外」の(社会的困難を抱えた地区)(quartierssensibles)でしばしば若者と衝突する治安部隊(警察・憲兵隊)の運用を中心とするセキュリティの法政策の特質などを考察の姐上に載せる必要がある。問題は多岐にわたり、それぞれが深刻である。本稿では、今回の「暴動」の発生の経緯と事態の推移をフランスの新聞等の報道から再構成した上で、「暴動」に潜む問題事象の幾つかの側面(郊外における若者の都市暴力と移民問題、政府による犯罪予防・治安対策の変遷と特質)につき、限定的ではあるが検討を加え、現時点における我々なりの問題状況の図式化を試みたい。
- 2006-03-31
著者
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