アメリカにおける犯罪のリスクと個人のセキュリティ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
はじめに 日本における個人のセキュリティ確保は、ここ数年のうちで犯罪・治安問題が急速に社会問題化したことにより(「安全神話」の崩壊)、政策課題としての重要性を増しつつある。一方、欧米諸国は、日本とは異なって、すでに過去数十年にわたる深刻な犯罪・治安問題を経験しており、その克服のため、旧来の刑事司法の施策の枠を超え、包括的な取り組みが行われてきた。我々の研究の目的は、このような欧米諸国のセキュリティ問題につき比較検討を行うことである。その第一段階として、イギリスとフランスの基礎的な研究に着手し、その成果を別の論文で発表している。そこで示唆したのは、イギリス・フランスでも、その具体的な犯罪統制の態様にニュアンスの差異があるとしても、いかに犯罪問題に対応するかが重要な政治的アジェンダであり続けていると同時に、公的・私的な多様な対応には多くの問題が含まれている、ということである。今回取り上げるアメリカも例外ではない。アメリカは、犯罪の常態化にあえぐ社会の代表的な例である。本論文では、次のように検討を進める。まず、アメリカにおける犯罪の動向とそれに対応する刑事政策の概略、および一般市民の犯罪リスクを明らかにする。次に、市民の犯罪恐怖の上昇と、それをと伴う私的なセキュリティの興隆の状況を取り上げる。第3に、市民の安全確保に関わる警察活動の動向を歴史的に概観した後、代表的なポリシングの形態を素材に、それらの意義と問題点を検討する。
- 2004-08-31
著者
関連論文
- フランスにおける暴動 : 都市暴力・若者・セキュリティ政策
- アメリカにおける犯罪のリスクと個人のセキュリティ
- ニューヨーク市における犯罪の減少と秩序維持ポリシング(高木絋一教授退職記念特集)
- 犯罪のリスクと個人のセキュリティ : イギリスとフランスを中心に
- リスク社会における個人のセキュリティに関する研究・序説
- フランスにおける〈セキュリティ〉政策 : 立法のインフレ化と「自由」の危機?
- 207 培養ヒト骨芽細胞に対する動的力学刺激付加マイクロデバイスの開発(OS11-2:マイクロ・ナノバイオメカニクス,オーガナイズドセッション11:マイクロ・ナノバイオメカニクス)
- P・ローザンヴァロンの福祉国家論 : 福祉国家の再構成の視座を得るために
- ロンドン暴動の研究