思春期・青年期から成人期における慢性疾患患者のモーニング・ワークのプロセス
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,思春期・青年期から成人期というタイム・スパンにおける慢性疾患患者のモーニング・ワークの特徴,および,モーニング・ワークの2つのモデル(段階モデル・慢性的悲哀モデル)への適合性について,短いタイム・スパンについての検討結果(今尾,2004)との比較対照も加味し,検討を行った。思春期・青年期に発病し,成人期の発達段階にある慢性疾患患者9名(男性2名,女性7名)を対象に半構造化面接を実施し,発病後の心理過程に焦点づけたライフ・ストーリーを聴取した。結果は,次の3点に要約される:(1)モーニング・ワークのプロセスは,慢性的悲哀モデルよりも段階モデルへの適合性がより強くなることが示された。また,モーニング・ワークのプロセスは4つの群に分けられた。(2)病気の悪化・再燃の有無およびその時期が,4つの群を分ける要因となっていた。特に思春期・青年期における病気の悪化・再燃が,「職業」というライフ・イベントに影響を及ぼした場合,病気はアイデンティティ発達への影響をもたらすと推測された。(3)成人期の心理社会的発達課題である親密性確立については,モーニング・ワークとの間により,複雑な関連があると推測された。今後,異なる発達期およびタイム・スパンにおけるモーニング・ワークの展開を検討しながら,アイデンティティや親密性という心理社会的発達課題とモーニング・ワークとの関連を明らかにすることが課題として残された。
- 2009-09-10
著者
関連論文
- 成人前期から中年期における慢性疾患患者の病気の捉え方の特徴 : モーニング・ワークの検討を通して
- 思春期・青年期から成人期における慢性疾患患者のモーニング・ワークのプロセス
- P3-3 成人期慢性疾患患者におけるmourning workプロセスについて
- 慢性疾患患者におけるモーニング・ワークのプロセス : 段階モデル・慢性的悲哀(chronic sorrow)への適合性についての検討
- 青年期慢性疾患者のモーニング・ワークに関する一研究(平成 9 年度発達臨床学専攻修士学位論文概要)
- 支援がもたらした『何か』(質的心理学の東日本大震災 第2回)