仏教と倫理 : <宗教的実践>についての一考察(<特集>宗教と倫理)
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概要
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<仏教には、倫理、とりわけ、社会倫理が欠如している>との批判がある。倫理が、なんらかの超越的実在に規定されるような道徳・社会的規範、あるいは、社会形成力を持つ規範などと理解される場合には、たしかに、そうであろう。仏教は、「出世間」の宗教であり、「世間」(社会生活)で価値形成的にはたらく行為規範を教えるものではないからである。現代のグローバル化状況における<宗教多元>は<価値多元><倫理多元>でもある。宗教が倫理的生の周縁部へと追いやられてしまっているだけではない。人間的な存在欲求の直接的なぶつかりあいのなかで倫理不在でもある。個々の宗教倫理、市民社会の倫理などの混在状況において、各々は、互いに限定的なものであり、かつ、独自なものであることを際立たせ合っている。<宗教と倫理>(の異同/関係)が関心事とされることにより、各々の宗教における実践(宗教倫理)のアイデンティティが問われてくる。仏教における実践性は、仏教徒の行う世俗倫理にあるのではなく、<仏教徒になる>ところにあるのではないだろうか。「念仏の教え」に焦点を当てつつ考えてみたい。
- 2009-09-30
著者
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