一酸化炭素の作用機序に関する研究 : 血糖変動から見た血中遊離COの中枢作用について
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概要
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(1)100ppm前後の低濃度CO吸入でも見られたウサギの血糖変化を指標に実験を行なった。その場合,結合型のCOの作用を想定してCO飽和血球浮遊液を,また遊離のCOの作用を想定してCO溶存生理食塩液を静注し,血糖変化を比較,検討した結果,CO溶存生理食塩液静注群にのみ血糖変化を認めたので,COの血糖上昇作用は遊離型のCOの作用によるものと認めた。(2)CO溶存生理食塩液をウサギに静注することによる血糖変化に対し,Adrenalineのα効果遮断薬Phentolamine,β効果遮断薬Propranololが特に影響を与えないことから,CO溶存生理食塩液静注後の血糖変化は,主としてAdrenalineの分泌を介さないほかの血糖調節機構の存在によるものと考えられる。(3)しかしながら,Reserpine前処置ウサギにCO溶存生理食塩液を投与しても,血糖は変化しないが,この動物にAdrenalineを負荷した後では血糖増加が現われてくることから,COに反応し血糖変動をもたらす系には,何らかの意味でAdrenalineの存在が必要である。(4)脊髄ウサギを用いてCO溶存生理食塩液を静注した実験において,血糖変動をみないことより,血中に存在する遊離のCOにより変動する血糖は,COが中枢性に作動し,ついで,自律神経系を介しておこるものであると考えられる。
- 千葉大学の論文
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