イヌ胸大動脈の鍍銀法による観察
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概要
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成熟したイヌ4例の胸大動脈について,Richardson液固定,瀬戸の鍍銀染色を行なって,胸大動脈神経の分布状態およびその中に含まれている後根系知覚線維の終末構造と終末の分布状態をおもに検索し次の結果を得た。1.神経線維束が外膜内をおもに輪状に走り,分岐吻合をくり返して疎眼の神経線維束網を形成する。本網工は中膜浅層にまで広がっている。2.外膜には知覚終末が少なく,非分岐性および単純性分岐性終末が存在するにすぎない。3.中膜浅層や時に中膜中層にSunder-Plassmann-瀬戸の第1型,第2型に属する樹枝状終末や糸球状終末が若干存在し,これらはおもにbaroreceptorと考えられる。これに反し胸大動脈の全長にわたって中膜浅層から中層にかけて多数存在する非分岐性および単純性分岐性終末はおそらく病的痛覚を支配すると思うが,そのほかにbaroreceptorとしての役をもつか否かは不明である。4.外膜深層や中膜には随所にいわゆる植物性終網が認められた。5.中膜深層,内膜には神経成分は認められなかった。