ガス中毒症長期遷延例の臨床病理学的研究(構造学的研究,<特集>脳と神経の研究VII)
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概要
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ガス中毒症(CO,プロパンガス,プロパンガス不完全燃焼)の長期遷延3例の臨床および病理所見を検索し,さらに従来報告された文献6例とをあわせて考察し,以下の結論を得た。1.生存期間10ヵ月以上の長期遷延9例の臨床型は非間歓型8例,間歇型1例であり,著者の間歇型症例は際立って長い経過をとった。非間歇型では,共通して初期昏睡の回復と共に一過性に失外套症候群(Kretschmer)を呈し,高度痴呆に至り,間歇型では再燃した意識の回復過程において,失外套症候群を固定的に来たす。2.臨床像と病巣の局在について,失外套症候群は広汎かつ対称性の大脳白質の変性(Leuco-encephalopathy)が背景をなし,筋強剛,akineseを主としたパーキンソン病態は対称性の淡蒼球壊死により裏づけられる。3.淡蒼球およびアンモン角の壊死は,かなり頻度が高く,石灰の沈着が特徴的である。白質の病変は脱髄を前景としたLeucoencephalopathyの型と,いわゆる"Odemnekrose"の像を呈するものとあり,前者は必ずしも間歇型と相関性はない。4.病変の成因に関して,淡蒼球,アンモン角壊死はanoxiaにより,大脳皮質深部と小脳の壊死,白質のOdemnekroseは循環障害,白質の1』eucoencephalopathyはanoxiaとCO,プロパンガスなどに共通した毒性により惹起されることを示唆した。
- 千葉大学の論文
著者
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