関節リウマチの頚椎手術例の術後評価と生命予後の検討

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「関節リウマチの頚椎手術例の術後評価と生命予後の検討」関節リウマチ(以下RA)の頚椎病変に対する手術療法においては良好な短期成績が得られる反面、全身合併症、ステロイド使用の合併症、多関節病変による日常生活動作(以下ADL)の低下などのために期待した長期成績が得られない場合も少なくない。またRA患者では生命予後も短いため手術後の生存期間も問題となる。今回我々は自験例の長期手術成績、死亡率などより、年齢、性差、脊髄症状の重症度などが手術患者の生命予後に与えるか否かその影響を検討した。対象は1991年から2003年に東京女子医科大学整形外科において、頚椎手術を受けたRA患者87例(男性23例、女性64例)であった。追跡時、生存61例、死亡26例で死亡率29.9%、平均観察期間は5.3年、追跡率は 88.6%であった。男性の死亡率は女性よりも有意に高く、手術時年齢、RA発症年齢は死亡群で有意に高く、RA罹病期間では死亡群が有意に短かった。下位頚椎亜脱臼(以下SAS)を有する群、重症脊髄症、重篤な全身合併症を有する群の死亡率が高かった。死亡群の死因では感染症(肺炎38.5%)が最も多かった。重篤な脊髄症を有し、術前歩行不能であった群のうち、術後歩行可能に改善した群は、術後も歩行不能のままであった群より有意に術後生存期間が長かった。これまでRA頚椎にて手術を受けた患者の長期成績、とくに生命予後を検討した論文は少ない。さらにRA患者は全身状態が悪く手術の危険性も高いため、かつてはRA頚椎の手術には消極的な意見も多かった。しかし近年、手術手技や麻酔技術の向上から周術期管理も改善し、患者自身のQOL向上に対する希望も強いため、積極的に手術を行う傾向にある。今回の検討から、男性、手術時およびRA発症年齢が高い、RA罹病期間が短い、SAS、重症脊髄症、重篤な全身合併症があることが生命予後の危険因子として認められた。さらに手術で歩行機能・麻痺が改善すれば予後が良くなることより危険因子に注意し、全身状態のコントロールがつくならば、積極的に手術を行うべきと考えている。
2009-10-25

関節リウマチの頚椎手術例の術後評価と生命予後の検討

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