アラニンスルフィン酸の脱SO_2反応
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概要
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含硫アミノ酸が体内で酸化されて硫酸を生成することは既にPirie, Hele, Medesによつて明らかにされている。即ち,Pirie等は投与システインSの約70%が2日間に硫酸塩として尿中に排泄されたことを犬で観察し,Medesは注射又は経口的に投与されたシステインSの73〜95%が硫酸にまで酸化されたことを人体で認めている。斯様な生体内に於けるシステイン酸化による硫酸生成の機序は,簡単な反応でなく特殊な酵素系の介在を必要とする複雑な中間反応を含むものと考えられる。この硫酸生成の機序に関する研究はPirie, Medes, Medes, Floydによつて行われている。しかし,その詳細については,なお,明白にされていない。当教室に於ては既に戦争中システインから硫酸が生ずる過程でアラニンスルフィン酸,亜硫酸を経由することを,アラニンスルフィン酸にねずみ肝抽出液を作用させて酵素的に生ずる硫酸が更に試験液除蛋白液を過マンガン酸カリ処理すると増量する成績から確認して,その実験成績を酵素班協議会で報告した。しかし,戦災によりその記録を焼失せる為戦後再び実験に着手し前回の報告を再確認することが出来たので報告する。なお,Fromageotはアラニンスルフィン酸から嫌気的条件下でアラニン及び亜硫酸を生成する脱SO_2酵素の研究を行つているが,私の実験は之と全く別個に行つたものである。脱SO_2反応による生成物アラニンを戦時中にはベンツオイル・アラニンとして同定したが,この度は濾紙クロマトグラブによつて証明した。なお,併せてこの脱SO_2反応を営む酵素の至適酸度,金属及びCNイオンの影響,並びに補酵素について検討した。
- 1954-07-28
著者
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