気管支喘息の解剖学的根拠(特別寄稿)
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概要
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1.気管支喘息の発生機序は長い間,"気管支筋肉の痙攣"に帰せられていた。2.このような説明は,気管支喘息における吸気と呼気の間の著しい相異を明らかにしていない。3.解剖学的に,平滑筋痙攣による気管支閉塞ということは不可能である。Chevalier Jacksonは50年の経験に於て,喘息の症例にかゝる現象を一度も観察していない。4.呼吸は神経一筋肉のはたらきに依つているのであるから,神経系の障碍は末梢的変調を来し得るのである。5.延髄に於ける呼吸中枢は,吸気中枢と呼気中枢に区分せられている。従つて,後者の抑制は気管支喘息の主要症状である呼気の困難を招来し得るであろう。6.神経系統はすべての外界の変化(刺戟)に対して,より低い刺戟閾(高い感受性)を有するから,花粉とかアレルゲン等は先ず神経系に作用する。7.アドレナリンはその作用の点で自律神経系に類する。8.頸動脈毬の外科的切除は,幾人かの喘息患者に救済を与えている。9.上記の諸点から,気管支喘息はおそらく,気管支筋の痙攣よりも,むしろ中枢神経系の失調の結果であると考えられる。
- 1953-05-28
著者
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