遺傳學の趨勢 : 附授精(落成記念號)
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概要
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遺傳と云ふ事實は(廣き意味に於て)親の性質が子に生物學的固有の關係によりて相傳承すると云ふことで、我々の日々に多く見聞相遇して居る所で今改めて説明するにも及ばぬ程の事である。即ち人間の子は唯人間であると云ふのみならす。必ず其親なる特別の個人に甚だ類似した特種の部分を傳承して居る、これは他の動物でも皆其通りで兎の子は兎全體に通有する性質を帶びて居る外に其親兎の特殊な性質を持つて生れる、植物とてもまた其通りである、斯く親の性質が子に遺傳することは當然の事實として平常誰も之を念頭に置かぬ程である、却て遺傳せぬ事があつたなら不思議な位に思はれて居る、然らば此遺傳と云ふ甚だ平凡なる事實に對してこれが原因理由を學問的に證明しようとすればなかなか困難不可解の事のみで實に不明の事が多く此問題の解決に就ては古來より多數の學者が苦心惨憺して居るけれど未だ今日にあつても十分な説明がない實に自然の摩訶不審議の現象とせられて不明なる點のみである然るに近來漸く遺傳學の一部分に説明の端緒を與ふる學説も出來たから以下二三の學説を紹介して本學に於ける現今の趨勢を述べてみよう。
- 京都府立医科大学の論文
- 1914-12-31
著者
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