川崎長太郎とその読者 : 1950年代のブームをめぐって
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概要
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1950 年に発表された「抹香町」以降、徐々に醸成されていった川崎長太郎のブームは、平野謙が「新事態」と呼んだように、マスメディアの時代における文学について再考を促すものだった。本稿は、『自選全集』にも収録されず読まれないままになっている川崎の作品が、先行作品のメタ言説となっていることを明らかにし、次いでその作品を享受した女性読者を分析することで、1950 年代における小説(家)と読者の関わりの一端をあきらかにすることを試みたものである。