中国の近代における白話小説の「古典化」について : 雑誌『新青年』上の討論をめぐって
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概要
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明清の白話小説が近代中国における「古典文学」としての地位を築く最初の契機になったのは,文学革命であった。白話文の正統化が主張され,白話小説も文学の正統として扱われるようになったからである。だが,白話小説の価値をめぐって胡適・陳独秀・銭玄同の問で行われた『新青年』誌上の討論を詳しく見ていくと,その「古典化」は必ずしも直ちに成し遂げられたものではなかったことがわかる。彼らは討論の中で,白話小説の読者として一般の青年を想定し,それが彼らに及ぼす社会的影響を問題にするようになった。彼らは白話小説を「古典」として無条件に賞賛するのではなく,ある種の教育上の配慮をもって取り扱うよう主張していたのである。
- 2009-08-25