強調とは何か : 古今集「ぞ」「こそ」の表すもの
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概要
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文章表現における「強調」という作用が、文法上具体的な形となったもののひとつに係助詞及び係り結びが挙げられる。係助詞と、係り結びが担う強調について、古今集の「ぞ」「こそ」の用例の調査により、以下の結論を得た。強調とは、新しく伝えられる情報を伝達の焦点として意識させる働きを含む。その目的のため「ぞ」は、上接するものを未知のものとして客観的に指示し、係り結びにより描写内容全体を伝達の焦点として浮かび上がらせている。それに対し、「こそ」は、描かれた内容の外に他の内容を意識させ、対比によって伝達の焦点に注目させ、後に対比部分を意識させるため已然形結びを要求する。
- 松山東雲女子大学・松山東雲短期大学の論文
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