強調における、係助詞「ぞ」と係り結びの機能分担 : 未知の命題・既知の命題という概念を導入して
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概要
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和歌における係助詞「ぞ」には、上接する要素を未知のものとして客観的に指示する働きを持つ。そしてその機能により、描写表現と発見の表現がそれぞれ可能になる、従来筆者は、それぞれ表現について、描写表現は「 未知 ぞ 未知 なる」、発見の表現は「 未知 ぞ 既知 なる」と、未知の情報と既知の情報という2つの要素の組み合わせによって生み出されたものと考えてきた。当稿では、既知・未知を切り離された要素としてでなく、命題の中に組み込まれたものと考えてみた。つまり、描写表現は、「XぞYなる」(XYは未知の情報)、発見の表現は、「XぞBなる」(Bは既知の情報)という命題からそれぞれ出発し、未知の情報が既知の情報に変化した結果「AぞBなる」(Aは既知の情報)という命題が成立し言葉として表現された結果であると捉えてみたのである。命題という考え方を導入した結果、係り結びの既知の命題の提示」という機能が明らかになり、さらに、強調を表現する過程において、係助詞と係り結びは、機能を分担しあっていると考えることが可能になった。
- 松山東雲女子大学・松山東雲短期大学の論文
著者
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