イスラームにおける「救済の確証」 : マートゥリーディー学派を中心に
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概要
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イスラームの救済構造において「救済の確証」を導く条件は「信仰の確信」である。一般的に、「信仰の確信」はマートゥリーディー学派の通説とされている。しかし、アブー・アル・ムイーン・アン・ナサフィー以前の同学派の神学において、「信仰の確信」の教義は、単に「信仰箇条の真実性の承認」の義務を意味するに過ぎなかった。それが、信徒自身の「信仰心の確信」を指示するようになるのは、アブー・アル・ムイーン以降である。またアブー・アル・ムイーンは、その他のマートゥリーディー学派神学者とは対照的に、信仰の非限定的な非増減説を説いた。非限定的信仰非増減説は信徒に対し、自分自身の信仰心を完全な形で承認し信仰者としての確信を強める素地を与える。「信仰心の確信」と非限定的信仰非増減説の成立により、イスラームにおける「救済の確証」をアブー・アル・ムイーンの神学の内に認めることができる。
- 2009-06-30
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