「変化型」アスペクトの「テクル」「テイク」と時間性 : タ形「テキタ」と「テイッタ」の非対称的な分布に注目して
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概要
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本稿は,「変化型」アスペクトの「テクル」「テイク」のタ形に焦点を当て,「テキタ」は過去時の時間認識と現在時の時間認識の両方を表せるが,「テイッタ」は過去時の時間認識しか表せないことを明らかにした。これは,「テキタ」の「タ」と異なり,「テイッタ」の「タ」が,「現在完了」の意味を表せないことを示している。「変化型」アスペクトの「テクル」は,到着点側に立つ話し手の縄張りの中に事象が到来することを表すため,話し手は事象の「結果」を捉えることができるが,「変化型」アスペクトの「テイク」は,出発点側に立つ話し手の縄張りから際限のない彼方に向かって事象が進展することを表すため,話し手は事象の「結果」を捉えることができない。そのため,「テクル」と異なり,「テイク」は,(過去時に生じた)事象の「結果」が現在時に存在していることを表す「現在完了」の「タ」の特性とは相容れない。
- 日本語学会の論文
- 2008-10-01