天安門広場の空間政治学 : 観光を通じてみる中国のモダニティ(1)
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概要
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中国の近現代が日本のそれとは非常に違った特徴を持つことは言うまでもない。中国近現代史に関する従来の研究はその特徴を明らかにしようと努力してきた。「観光対象と観光行動」という、伝統的な歴史研究とは異なった観点から中国近現代史上の重要な場所を扱うことで、今まで述べられているのとは違った中国のモダニティの特徴がみえるようになる。そういう新たな研究の蓄積に至る第一歩としてここでは天安門広場をとりあげる。天安門広場の整備過程をみると、それが「新中国」の権力の構造を中国人に教える空間構造として建設されたことがわかる。また写真を撮影する観光客の行動からそのような「教化」が観光行動のうちに無意識的に組みこまれることもわかる。しかし、重要なポイントへの人の集中度や広場のなかでの人の流れかたを観測、観察し、広場の周囲に居住していた「土地っ子」の話を聞くと、広場より多層的な意味をも担っていることも推測できる。そういった多層的な意味の全体連関的解明は今後の課題として残されている。
- 流通経済大学の論文
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