ひと目で構成比率を判断できるか
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概要
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4つの実験によって,2種類の要素を数百個集めて構成した対象を短時間提示した場合,その構成比率を正確に判断することができるか否かを検討した.実験1では,3つ刺激提示時問を設定して,瞬時に全体を見て要素の構成比率を判断できるか否かを調べた.全体的には,0.5秒,1秒,2秒の各提示時問とも各提示比率において比較的に正確な判断がなされており,知覚の初期段階で比率判断を行うプロセスが機能することが示唆された.実験2では,△と○,□と○いう構成要素を組合せた刺激を用いて,要素の大きさが刺激の比率判断に及ぼす影響を検討した.□と○を対比させた場合には口が過大評価され,△と○を対比させた場合には,構成比率50%を境として,それ以下の比率では△が過大に,それ以上では過小に評価された.実験3では,要素の色特性が刺激の比率判断に及ぼす影響を検討した.赤と白あるいは青と白で刺激を構成した場合,赤及び青の構成比率が過大評価された.ただし,赤と青を対比させた場合は,比較的に提示比率と一致した評価がなされた.実験4では,大きさ(△と□)と色(赤と青)の2つの視覚的特徴を同時に組合せた4種類の要素と白○を対として,それらの特性が比率判断にどのような影響を及ぼすかを調べた.赤△と青△を白○に対比させた場合には,赤□や青□が過大評価され,赤△と青△を白○と対比させた場合には,提示比率に近い比率判断がなされた.これらの結果から,一般に要素の大きさが大きいほど比率は過大に評価され,有彩色の要素は無彩色のものに比べて過大評価されることが分かった.ただし,視覚的特徴を複合させた要素を用いた場合には,何らかの相互作用が働き,提示比率に接近した比率判断を導く方向に作用した.
- 久留米大学の論文
著者
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