嘘と本当を見分けられるか
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概要
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本研究では,嘘の漏洩と非言語的手がかりとの関連を3つの実験で検討した。実験刺激として,男女各5名の自己プロフィル(氏名,家族構成,趣味等の10項目)に関する真と偽のビデオ映像(計20本)を用いた。「真」の映像ではすべての項目が事実そのままで,「偽」の映像では,10項目中の3項目が実験者によって偽に変えられた内容が述べられた。映像の長さはいずれも2分間弱であった。いずれの実験においても,被験者の「真偽判断」および「判断の確信度」と「利用した手がかり」が調べられた。実験1では,各被写体の真か偽のどちらか一方の映像(真と偽各5本の計10本)を98名の被験者に提示した。その結果,平均の正解数はほぼチャンスレベルにとどまった(平均4.9,標準偏差1.52)。ただし,個別刺激の正解率は14.3%〜85.7%の広い範囲にわたり,10人の被写体のうち8人において,真と偽の正解率に有意差が認められた。実験2では,各被写体の真と偽の映像(計20本)を被写体ごとに対にして15名の被験者に提示した。その結果,平均正解数は3.9,標準偏差は1.61であり,課題の困難度が増大した。実験3では,実験1の結果をふまえ,正解率が高い,チャンスレベル,あるいは低い映像(計9本)を用いて,32名の被験者に音声を消した視覚情報のみの条件で提示した。実験1の音声あり条件の結果と比較すると,高群では正解率が低下し,低群では正解率が上昇した。これらの結果から,総体的に見ると,チャンスレベル以上に真実と嘘を見分けることが難しいと同時に,嘘の非言語的漏洩の表出には個人差が見られること,さらに周辺言語を含めた聴覚情報が嘘の検出で果たす役割の重要性が示唆された。
- 久留米大学の論文
著者
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