デザイン、能力、ヒエラルキー : タイ土着の機械技術における人とモノの目に見える秩序(<特集>アカウンタビリティ)
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概要
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本論文ではタイの土着の機械工業を例に、技術的実践が生み出す人とモノの可視的な秩序と、そこに育まれる人々の集合的な生のあり方を考察する。ここで焦点を当てるのは、技術的実践の中心に位置するとされる、問題を秩序だったものとして「見ていく」ことと、機械工たちの間の「社会的なもの」がアカウンタブルな形に生み出されることとの密接な関係である。技術的問題を解決する際に機械工たちは、試運転を繰り返しながらデザインを修正し、徐々に機械の不具合に影響を与える要因を明らかにしていく。つまり、不具合の原因を突き止めることは、機械を取り巻くモノや人の関係を可視化することに他ならない。一方、機械工の能力や彼らを結びつける社会的なものもそれ自体で目に見えるものではない。これら社会的なものも、機械に影響を与える諸要因と同様に実践の中で徐々に目に見えるようになってゆく。特集の序で述べたように「目に見える」という性質はしばしば共同的に組織された現象であり、同時にそれを通して人々が互いを結びつける公的なインターフェイス、ないし媒介物となりうる。本論文では、この「目に見える秩序」が生み出される不連続で不均等な技術の空間に注目して、技術的実践をとおして目に見えるものになる世界と、それが生み出す集合的な生のあり方を明らかにしよう。
- 2009-03-31
著者
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