森田草平の『霙』とシェストフ論争前史 : 『地下室の手記』の初期の紹介と阿部六郎
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概要
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ドストエフスキイの『地下室の手記』が現代文学の始原の一つに位置付けられ、この作品の画期的性格を喧伝したシェストフの『悲劇の哲学』を介して、昭和文学に大きな影響を与えたことはつとに知られている。本稿はシェストフ論争に至るまでの『地下室の手記』の初期の紹介について、森田草平の翻案『霙』を中心に概観し、ついで『悲劇の哲学』の翻訳者阿部六郎がこの翻訳を行った背景について述べる。また、あわせてもう一人の共訳者河上徹太郎がシェストフの流行をどのように見ていたか、簡単に紹介したい。
- 九州大学の論文