天然歯歯頸部付近の窩洞の歪みについて
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概要
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歯に外的な力が加わると歪みが生じるが,部位により歪みの形や大きさはそれぞれ異なる.特に歯頸部の歯面では歪みの値が大きくなることが知られている.本研究では,ヒト抜去上顎犬歯の歯頸部に規格化した箱型の窩洞を形成し,その歪みを測定した.窩洞は切端側歯肉側幅3.0mm,近遠心幅5.0mmで深さは2.0mmとした.同じ大きさで歯冠部に形成した窩洞を歯冠部窩洞,歯根部に形成した窩洞を歯根部窩洞,セメント-エナメル境に形成した窩洞を歯頸部窩洞とした.被験歯の歯根は,解剖学的歯頸線から歯根尖寄り6.5mmの位置で常温重合型レジンを用いて固定用リングに埋入し,固定した.窩洞には,光硬化型グラスアイオノマーセメントを充填し,バーニッシュ材をセメントの表面に1層塗布した.ストレインゲージは,窩洞の近心側,遠心側,歯肉側,切端側の4カ所に貼り付けた.荷重方向は歯軸に対して90°および45°の2方向で,3kgf時の歪みを測定した.歪みは,窩洞形成前後およびグラスアイオノマーセメント修復後に測定した.結論を以下に示す.1. 荷重方向による歪みの差は,荷重方向90°より45°のほうが大きかった.2. 歯質による歪みの差は,エナメル質よりも象牙質のほうが有意に大きかった.3. 窩洞形成前の測定では,すべての歯で圧縮歪みが認められた.4. 歯冠部窩洞の歯肉側壁では,窩洞形成後およびグラスアイオノマーセメント修復後に荷重方向90°および45°において引張り歪みが認められた.5. 歯頸部窩洞の歯肉側壁では,窩洞形成後に荷重方向90°および45°において引張り歪みが認められた.6. 歯肉側壁と切端側壁では,窩洞形成前に比べて窩洞形成後の歪み値が小さくなった.グラスアイオノマーセメント修復後の歪みは形成前の数値に近似していた.7. 遠心側壁と近心側壁では,窩洞形成前に比べて窩洞形成後に歪み値は大きくなった.グラスアイオノマーセメント修復後の歪みは形成前の値に近似していた.
- 2008-08-31
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