肺癌のN因子に対する経食道的超音波内視鏡検査の有用性に関する検討

概要

論文の詳細を見る
肺癌症例32例に対し,経食道的超音波内視鏡検査(以下,E-EUSと略)を施行し,N因子特に縦隔リンパ節転移の有無に関して観察を試み,その有用性について検討した.E-EUSでは,描出範囲は制限され,一般には,大動脈下リンパ節(#5)および気管分岐部リンパ節(#7)が観察されるに過ぎなかった.これらの部位では,リンパ節の輪郭は明瞭に描出され,その最大の断面にて長径・短径の計側が可能で,平均直径10mm以上を転移陽性と判定すると,#5および#7のsensitivity, specificity, accuracyはそれぞれ,85.7%,80.0%,81.3%および100%,93.1%, 93.8%と良好な成績で,CTとの比較でも,#5については描出能・正診率において優れていた.径20mm以上の著明に腫大したリンパ節では,内部エコーが不均一で壊死による空洞形成を認めた症例もあったが,軽〜中等度腫大したリンパ節では,内部エコーの性状で転移の有無を判定するのは困難であった.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1988-09-15