振動円偏光二色性分光法 : Raman光学活性
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概要
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著者らは円偏光赤外線を用いた二色性の分光により、光学活性分子の測定と解析を行ってきた。これまで、アルコール類の分子の場合には、無極性あるいは極性の弱い溶媒中に希釈することにより、分子間水素結合を遮断したスペクトルを観測でき、溶液状態での分子構造の研究にはほとんど情報をもたらさないと信じられてきたOH変角振動が振動円偏光二色性(VCD)スペクトルには強い信号となって現れること、その信号の強度や符号が振動モードの観点から解釈できる可能性のあることを示してきた。生体分子の系に振動分光の研究を応用する場合、赤外分光とともにそれに相補的なRaman分光法が有用であることは、多くの研究例によって明らかである。光学活性分子の振動円偏光二色性分光ではROAと呼ばれる分光法がVCDに相補的な分光法ということになる。著者らの研究室では、本年度にこのROA分光装置を導入することになった。そこでこの際、Raman分光法の一般的な原理とROAの理論の概観を行い、導入したROA分光装置でどの程度のスペクトルが測定できるかを検討し、VCDとの比較を行うことにした。この論文はこれらの測定実験の予備的な結果を報告し、将来への理論あるいは新しいモデル構築の基礎となるものとして執筆した。
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