自宅で心肺停止に陥ったが心肺蘇生術後の脳低温療法が奏功し後遺症なく救命しえた1症例
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概要
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症例は43才男性.既往歴に甲状腺機能亢進症があり,内服治療中であった. 夜間に呼吸が停止しているのを家人が発見し,救急車を要請した.その際に救急司令室の指導下に心肺蘇生術を開始していた. 救急隊員が自動体外式除細動器を用い,心肺停止後約20分後に心拍再開に成功した.蘇生後の頭部CTで軽度の脳浮腫を認めたために当院へ救急搬送,心肺蘇生後の全身管理目的で集中治療部(ICU)入室となった.神経学的転帰の改善を期待して脳低温療法を施行した.脳低温導入後24時間は34℃を目標とした. 以後は0.5℃/日のペースで復温した.脳低温管理の際は,シバリングが出現したためミダゾラム,フェンタニル,プロポフォールの持続投与を併用した.この間,人工呼吸器管理下に昇圧剤の持続投与を要したが呼吸循環動態は安定していた.復温を終了したICU入室後5日目に持続鎮静を中止し,頭部CTを施行したところ異常を認めなかった.持続鎮静中止後に昇圧剤投与は減量中止できた. 翌ICU入室後6日目には人工呼吸器から問題なく離脱することができた.ICU入室後7日目に後遺症を残すことなく一般病棟へ退室できた.心肺停止となった原因として甲状腺機能亢進との関連の可能性は低く,循環器内科の精査の結果,特発性心室細動との診断で植え込み型除細動器を体内装着後に退院した.
- 2008-09-25
著者
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