'For future shade' : 'On St James's Park, As Lately Improved by His Majesty'の展開
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概要
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チャールズ一世が処刑前夜を過ごしたセント・ジェームズ宮殿に隣接するセント・ジェームズ・パークは、もともとヘンリー八世が鹿狩り専用の猟場として造営した御苑である。内乱後の空位時代には、損壊を受けた宮殿と同様荒廃の憂き目に合い、すんでのところで実行はされなかったものの議会によって樹木伐採の命まで下っていたという。王政復古がなってまもなく始められたこの苑の復興をうたったのがエドマンド・ウォラーの'On St James's Park, As Lately Improved by His Majesty'であるが、カントリーハウス・ポエムの中でも建造もしくは再建を旨とするいわゆるbuilding or reconstruction poemと呼ばれる詩群に属するこの詩についてまず特筆すべきことはふたつあるように思われる。ひとつは復興をうたわれているのが敷地部分を含めるにせよ建物である場合がほとんどである中、この詩で扱われているのが専ら外部空間である点である。建物の帯びる象徴性とはまた異なった表われかたをする象徴性がそこに見られると考えることができるだろう。もうひとつは、セント・ジェームズ・パークを再興する人物がチャールズ二世その人であることである。たとえば同詩人そしてエイブラハム・カウリーがうたうサマセット・ハウスの再建においてまずは再興者として称賛されているヘンリエッタ・マライアは新国王の母という立場で王権への近さは持つ。王政復古以前、以後に関わらず他の王党派の貴人たちの建物の再建・復興も含め、これらはもちろん間接的、時に直接的に国王を嘉するものではあるけれど、本詩のように王その人の手になる、いわばこれ以上直截な記号性を持つものはない営みはその称賛の仕方にかえって独特なものを持つかもしれない。以上のふたつの点が詩の展開にどのように作用しているかをたどりつつ、その展開をカントリーハウス・ポエムおよびトポグラフィカル・ポエムというジャンルと照らし合わせて考察することがここでの試みである。
著者
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