ある森林NGOの20年の軌跡 : その設立,活動の意味
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概要
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本稿では,日本の森林NGO誕生の経緯,活動の内容,その活動が社会に与えた影響を,「ウータン・森と生活を考える会」を事例に,その中心メンバーへの聞き取り調査によって明らかにしようとした。まず,ウータンのメンバーは,経済発展のために切り捨てられる弱者や自然に強い関心を持っており,森に住む先住民の人権が日本の商社等の企業活動によって侵害されている現状を問題にしていたことが明らかとなった。主な活動内容は,初期には商社への抗議活動,その後,熱帯材の需要者である地方自治体に対する熱帯材使用削減の要請,2000年以降はラミン材取扱い業者と地方自治体に対するラミン材使用削減の要請であった。メンバーはキャンペーンのなかで行なった木材流通調査を通して,自治体や業者に対しても問題の当事者であることを知らせ,実際に対策をとるよう促したのであった。ただ,この活動は単独での成果ではなく,様々な社会状況の変化によるものでもあった。
- 2009-03-01