木本類に関わるワシントン条約の課題 : 附属書II掲載種ラミンを事例に
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概要
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ワシントン条約において,とくに90年代以降,「持続可能な利用」の議論が盛んとなり,それをもとに条約の実施について具体的な内容が取り決められている。一方,世界(とくに熱帯地域)の天然林消失が依然深刻ななか,90年代に入り,ワシントン条約附属書に木本類が掲載されるようになってきた。そこで,木本類の保全が,ワシントン条約体制のもとで実現され得るかどうか,検討する必要がある。ここでは,熱帯地域の樹種ラミンを事例として,木本類に関連して,ワシントン条約での「持続可能な利用」の考え方とその実施の現状について問題点を検討した。その結果,掲載基準の根拠が未だ不明瞭であること,附属書II-「持続可能性」の実質上の内容となっている-掲載種の取引量の設定・設定値の妥当性の調査に難点があること,輸入国での水際規制が機能していない可能性のあることの3点が,問題点として明らかとなった。木本類がワシントン条約のもとで保全され得るために,課題は多いのである。
- 林業経済学会の論文
- 2006-03-01