国交回復前と後の日中関係についての比較考察
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概要
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本稿では、国交回復以前の日中関係が、それ以降の日中関係とどのように類似しており、あるいはどのように異なっているのかを比較考察している。国交なき時代(1946-1971)の日中関係を考察することにより、21世紀の日中関係を考える上でより客観的で興味深い視点を提示することが本外交史研究の主目的である。本研究の成果として私が論じたいのは、日中関係の基本構造は国交回復以前の時期もそれ以後の時期もほぼ同じだということである。つまり、戦後、頻繁に繰り返された政治的及び外交的衝突にもかかわらず、日中両国は一貫して相手を最も利益的な経済パートナーとして明確に認識し活用しあってきたのである。本稿では、論点の証拠としてあるいはまた歴史的経緯をより深く考察する手段として、著者が外務省外交資料館より収集した外交文書(作成当時は極秘扱いのものを含む)を使用している。