欧州における'learning region'概念の出現と今日的意義 : 生涯学習ネットワークの構築を通した地域活性化の追求から見えてくるもの
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概要
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本稿は,2000年以降飛躍的に推進が図られている欧州の生涯学習政策とその実践の中でも,特に行政的な区画としでの地域の枠組みを超えた,新たな「地域」の活性化を目指して実施されている事業として,近年注目されている'learning region'と呼ばれる概念の出現とその発展を取り上げ,その背景となる欧州における「地域」のとらえ方,政策的位置づけ及び同概念が具現化されてきた経緯を検討することにより,それがいかに欧州における新たな生涯学習のネットワークとして意味があるのかを考察することを目的とする。'learning region'という概念は,90年代後半に初めて有識者間で取り上げられるようになったが,欧州においてその普及が見られるのは2000年に採択されたリスボン宣言以降,EUレベルでの生涯学習政策が大規模に推進されるようになってからのことである。2003年から2004年にかけて実施されたR3Lと呼ばれるパイロット・プロジェクトを契機として,様々なテーマをもとにしだ'learning region'が普及するとともに,地域間での連携も多くみられるなど,新たな生涯学習のネットワークが構築される中で,今日それぞれの地域の活性化や再生が多様な形態で進められている。こうした動きに伴って,現代社会の求める地域的な学びの意義が欧州域内で問い直されつつあることは,大いに示唆に富むものである。
- 徳島大学の論文
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