多発性硬化症におけるT1強調像での脱髄斑辺縁部高信号帯の客観的評価 : ラクナ梗塞との比較
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概要
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目的:画像解析ソフトウェアを用いた客観的評価法により,多発性硬化症の脱髄斑辺緑部に認められる高信号帯hyperintense rimと周囲白質との信号差を検討する.また多発性硬化症とラクナ梗塞におけるhyperintense rimの出現頻度を比較検討する.対象と方法:2006年2月から2007年7月にMRI検査が施行され,T1強調像で結節状低信号を呈する多発性硬化症39症例239病変とラクナ梗塞34症例51病変を対象とした.MRI画像に標準化処理を施した後,画像プロファイル解析機能を用いて脱髄斑の辺縁部と周囲白質それぞれの信号を測定した.辺縁部白質信号比が1.05以上を呈する領域をhyperintense rimと定義した.多発性硬化症群とラクナ梗塞群との間でhyperintense rimの出現頻度および辺縁部白質信号比に統計学的な有意差があるか検討した.結果:hyperintense rimと判定されたものは,多発性硬化症群では39症例中21例(53.8%),239病変中81病変(33.9%)で,ラクナ梗塞群では34症例中1例,51病変中1病変のみであった.この2群間におけるhyperintense rimの出現頻度および辺縁部白質信号比には統計学的有意差が認められた(p<0.0001).結論:脱髄斑のT1強調像を定量的に解析することにより,客観性をもってhyperintense rimの存在を評価できた.多発性硬化症では,ラクナ梗塞と比較してhyperintense rimの出現頻度が有意に高く,特徴的な画像所見の一つと考えられた.
著者
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尾崎 裕
順天堂大学放射線科
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尾崎 裕
順天堂大学医学部放射線医学講座
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尾崎 裕
順天堂大学 放射線科
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古村 慎二
順天堂大学医学部 放射線医学教室
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尾崎 裕
順天堂大学医学部 放射線医学教室
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古村 慎二
順天堂大学医学部放射線医学講座
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