EUの国際的テロリズム規制措置に対する司法審査と基本権保護 : EU判例の最近の展開(<特集>テロのグローバル化と法規制の新展開)
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概要
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EUは1990年代末からテロリズム規制措置を多く取り始めた.同時期に国連において特定個人・団体を「狙い撃ち」的に経済制裁する措置が取られるようになると,EUも国連の措置の実施措置として,また独自の措置として,個人に資産凍結や警察常時監視などの不利益的措置を行うようになった.EUの制度は,現在までのところ,ECとそれ以外の2つの制度に区分されているが,テロリズム規制立法面ではEUの3制度が連動される一方で,その連動的立法の違法性を司法審査する司法面では3制度はEU司法部の管轄権の有無や広狭がさまざまにわかれている.このため個人に対するEUの制裁措置の違法を個人が争うことには大きな障害がある.この点の克服をEUの第一審裁判所はEC法の枠内で推進し,欧州司法裁判所はさらにEU全体の法の支配を推進するために,EC以外のEUの制度での不利益的措置についても,現行の条約規定に反しない範囲で,司法管轄権を認める積極的な解釈を展開した.本稿はテロリズム規制の大きな流れの特徴と,このEU判例の展開を追う.
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