二大政党制の実現を阻害する地方レベルの選挙制度(<特集>選挙制度改革後の政党政治)
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概要
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1994年に衆議院議員選挙(以下,衆院選)制度改革が実施された当時,小選挙区制の導入によって二大政党制(少なくとも選挙区レベルでは2人の有力候補者が議席を争う状況)の実現が,将来的に期待された.しかし4回の選挙を経験した現在においても,小選挙区における有効候補者数は必ずしも2へと収束していない.先行研究においては,その要因を解明する上で,新しく導入された選挙制度が比例代表制を並立させた制度であることの戦略的帰結に焦点を当ててきた.これに対して本論文では,地方レベルにおける選挙制度の効果に焦点を当てる.都道府県議会議員選挙(以下,県議選)では,定数1〜18の単記非移譲型選挙制度が採用されている.このため,地域によっては衆院選の選挙区と県議選の選挙区の定数の間に不均一が生じることになる.衆議院議員と都道府県議会議員の戦略的相互関係を仮定する限り,この不均一は,衆院選の小選挙区における政党間(候補者間)競争に影響を及ぼすであろう.具体的には,県議選の選挙区定数が多いほど県議選の有効候補者数が多くなり,その結果,衆院選の有効候補者数も増加すると考えられる.本論文では,同仮説を演繹的に導出した上で,衆院選の選挙区別集計データを用いて同仮説の妥当性を検証する.
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