癌性心膜炎で心タンポナーデを来した直腸癌の1例
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概要
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直腸癌の患者において,癌性心膜炎による心タンポナーデを来した症例を経験したので報告する.症例は54歳の男性で,2006年6月,進行直腸癌,大動脈周囲および縦隔リンパ腺腫大を認め,化学療法を選択した.同年7月,直腸狭窄が強くなり直腸切断術を施行した.化学療法継続中の2007年7月,著明な顔面浮腫および労作時呼吸困難を自覚.大量の心嚢水貯留を認め,心タンポナーデと診断した.剣状突起下経皮的心嚢ドレナージを行った.同年10月,大量の心嚢水の再貯留あり,再度心嚢ドレナージを行った.Adriamycin30mg,OK-432 10KEを心嚢内に注入した.その後,4か月経過した現在,心嚢水貯留の再発なく日常生活に復帰している.癌性心膜炎に対し,チューブドレナージ法と心嚢内へのadriamycin,OK-432注入療法を行い優れた効果を得た.進行直腸癌においては,全身化学療法により効果的な延命が期待できるゆえ,積極的に局所コントロールを行う意義がある.
- 2009-03-01
著者
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伊藤 昭宏
土岐市立総合病院外科
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榊原 聰
土岐市立総合病院外科
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日比野 壮貴
土岐市立総合病院外科
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榊原 巧
土岐市立総合病院外科
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丹羽 信之介
土岐市立総合病院外科
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大島 健司
土岐市立総合病院外科
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日比野 壮貴
土岐市立総合病院 内分泌代謝科 外科 消化器内科
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