水中細菌ノ運命ニ關スノル研究 : 第1篇 貯藏水温ガ大腸菌ノ發育ニ及ス影響ニ就テ
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概要
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井水,表面水ニ依ル諸種傳染病ノ大流行ハ屡々報告セラルルモ該水質檢査ニ依リ傅染病菌ノ發見セラルルコトハ極メテ稀ナリ.從ツテ水質ノ細菌學的汚染ハ水中大腸菌屬ノ檢出ヲ以テ屎尿ニ依ル汚染ヲ想像セラルルニ過ギズ.然レドモ生體ヨリ分離セラレタル大腸菌ノ貯藏水中ノ運命ニ就テハ尚不明ナル點多シ.著者ハ諸種貯藏水中ノ大腸菌ノ生存ニ關スル水温ノ影響ヲ考慮シ該菌ノ運命ヲ檢索シ次ノ如キ結論ヲ得タリ.1)蒸溜水中ノ大腸菌ハ増菌スルコトナク貯藏時間ト共ニ減少スルモ其ノ減菌率ハ貯藏水温ノ影響ヲ蒙ルコト大ニシテ,水温上昇ト共ニ減菌速度モ促進セラル.水温0℃ノ場合ニハ4日間貯藏ニヨリ平均42.5%ノ減菌率ヲ示シ,室温(20-23℃)ニ於テハ91.9%及ビ37℃ニ於テハ99.8%ノ減菌率ヲ示ス.2)生理的食鹽水中ノ大腸菌ハ蒸溜水ノ場合ト異ナリ貯藏ニ依ル水温ノ影響ハ甚ダ不定ニシテ死滅スルノミナラズ増菌スル場合スラアルヲ經驗セリ,從ツテ水温上昇ハ必ズシモ減菌速度ヲ促進スルモノニハアラズ.3)水道水中ノ大腸菌ハ蒸溜水ノ場合ノ如ク水温低下ニヨリ減菌速度低下シ,水温上昇ニ依リソノ減菌速度上昇ス.然ルニ室温貯藏7例中2例ニ於テハ顯著ナル増菌現象ヲ認メタリ.即チ水道水中ノ大腸菌ハ不明ノ理由ニ依リ時ニ増菌スルコトアルヲ考フレバ水道水ニ依ル疫病大流行ノ可能性ハ實驗的ニモ證明スルヲ得タリ.4)水道水中ノ増菌現象ノ原因ニ就テハ尚不明ナル點多ク,如何ナル條件ヲ得テ増菌スルコトアルカハ水質防疫學上重要ナル疑點ナルモ水温モ亦増菌現象ニ及ス主要因子ノ一ナルヲ實證セリ.
- 京都府立医科大学の論文
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