諸種内分泌物質ノ中間代謝産物,特ニ血液乳酸,あせとあるでひーど及ビあせとん體ニ及ボス影響ニ就テ
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概要
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諸種内分泌物質ガ新陳代謝ト密接ナル關係ニアルコトハ,既ニ先進諸學者ユヨリテ闡明セラレタリト雖モ,其ノ作用機轉ニ關シテハ,未ダ全ク解決セラレタリト云フヲ得ズ.而シテ其ノ作用機轉ノ研究モ,内分泌物質投與ノ際ニ生ズル新陳代謝終末産物ニ關スルモノニシテ,新陳代謝中間産物,特ニ血液乳酸,あせとあるでひーど及ビあせとん體ニ關シテハ其ノ業績頗ル寥々タリ.此等業績中其ノ多クハ血液乳酸ニ關スルモノニシテ,あせとあるでひーどニ關シテハ僅ニ2ツノ報告ヲ見ルノミ.然モいんしゆりんニヨル影響ヲ報告セルモノニシテ,他ノ内分泌物質ニヨルあせとあるでひーどノ消長ハ之ヲ見ルヲ得ズ.抑々血液乳酸ハ既ニ知ラルヽガ如ク,酸素缺乏時含水炭素ノ分解ニヨリテ生ジ,其外又蛋白質ノ分解産物トシテモ産生セラル.然レ共動物體内ニアリテハ,酸素缺乏時ニ含水炭素ノ分解産物トシテ成生セラルヽモノ其ノ大部分ヲ占ム.然ルニあせとあるでぴーどハ之ニ反シテ,含水炭素ノ有酸素時ノ分解産物ナルコトハ,多數學者ニヨリテ確證セラルヽ所ナリ.次ニあせとん體ハ含水炭素ノ不完全燃燒ノ場合ニ脂肪ノ分解産物トシテ生ズルノミナラズ,含水炭素及ビあみの酸ノ分解産物トシテモ産生セラル.由之觀之前述三者ノ消長ニヨリテ生活體ノ新陳代謝状態ヲ想像スルヲ得ベシ.之余ガ本實驗ヲ企テタル所以ナリ.家兎ヲ試驗動物トシテ諸種ノ内分泌物質ヲ其ノ腹壁皮下ニ注射シテ血液乳酸,あせとあるでひーど及ビあせとん體ノ消長ヲ檢シ,次ノ結果ヲ得タリ.此際内分泌物質トシテハちらーぢん(武田),あどれなりん(三共),いんてれにん(武田),ひぽほりん(武田),あとにん(武田),すぺるまちん(武田),おゝほるみん(武田),おばほるもん(武田),るてをぐらんどーる(ロツシユ),あごめんじん(チバ),しすとめんじん(チバ)ヲ使用ニ供セリ.尚此際少量注射,大量注射ノ二種ニ分チテ實驗シ,少量注射トシテハ家兎體重1kgニ付キ0.2cc大量注射トシテハ0.5cm^3ヲ注射セリ.1)對照試驗トシテ體重1kgニ付キ0.2cm^3ノ生理的食鹽水ヲ皮下ニ注射セルニ血液乳酸,あせとあるでひーど及ビあせとん體ハ8時間ノ間,其ノ變動ハ頗ル僅少ナリキ.而シテ乳酸ハ10.8mg,あせとあるでひーどハ0.41mg,あせとん體ハ0.92mgノ平均値ヲ示セリ.2)對照試驗ニ於ケル三者ノ變動ハ8時間ニテ10%内外ニシア,乳酸ハ滅少シ,あせとあるでぴーど及ビあせとん體ハ増加ヲ示ス.3)ちらーぢん少量注射ノ際ニハあせとあるでひーどハ注射直後ニ減少シ,其後次第ニ上昇スト雖モ,6時間後ニアサテモ,正常値ニ比シテ,尚37%ノ減少ヲ示ス.あせとん體ハ二三ノ例外アリシモ,大體ニ於テ對照ニ比シテ大差ナク,乳酸ハ最初ニ上昇シ,其後漸次下降ス.4)ちらーちん大量注射ニテハ,少量注射ノ際ト異ナリ,血液乳酸ハ注射後稍々減少ノ傾向ヲ有スルガ如キモ著變ナク,あせとあるでひーどハ少量注射ノ場合トハ反對ノ像ヲ呈シ,あせとん體ハ減少ス.5)以上ノ成績ニヨリテ之ヲ按ズルニ,注射セルちらーちんノ量ニヨリテ共ノ成績ヲ異ニスト雖モ,余ハ動物ニちらーぢんノ適量ヲ注射スル時ハ,初メ生體ノ酸化作用ヲ抑制スレ共後ニハ酸化ヲ促進スルモノト云ヒ得ルモノト信ズ.6)あどれなりんノ少量ヲ注射セル際ニハ,血液乳酸ハ注射後3時間ニ平均82%増加シ,6時間後ニハ減少スト雖モ,尚正常値ニ比シテ7%高クンあせとあるでひーどハ注射直後ニ50%上昇シ.其後略々此ノ高サニ止マル.あせとん體ハ漸次減少ノ傾向ヲ有ス.7)あどれなりん大量注射ニアリテハ,著明ノ變動ヲ來タシ注射直後既ニ103%ノ増加ヲ示シ,3時間後ニハ278%,6時間後ニハ27%ノ増加率ヲ示ス.あせとあるでひーどハ注射直後平均32%減少シ,3時間後ニハ稍々上昇ノ傾向ニアリト雖モ,正常値ニ比シ尚3%低ク,實驗ノ最終ニハ平均17%ノ増加ヲ示セリ.あせとん體ハ全ク之ト反對ノ像ラ呈シ,注射後減少ヲ持續ス,8)コノ成績ニヨリテあどれなりんノ作用ヲ次ノ如ク云ヒ得ベシ.即チあどれなりんハ實驗ノ初期ニハ含水炭素分解ノ嫌氣性時相,後期ニハ好氣性時相ヲ惹起スルガ故ニ最初増加セル血液乳酸ハ減少シ,減少セルあせとあるでひーどハ増加シ,あせとん體ハ減少ス.即チ消失セル乳酸ハ好氣性時相ニぐりこげーんニ合成セラレテ肝臟ニ蓄積セラレタルモノナルベシ.9)いんてれにん少量注射ニアリテハ血液乳酸ハ注射直後ニ例外ナク,増量シテ最高ニ達シ,其後漸次減少シテ,正常値ニ歸ル.あせとあるでひーどハ全ク之ト相反セル像ラ呈シ,あせとん體ハ著變ナキモ,稍々減少ノ傾向ニアリ.10)いんでれにん大量注射ノ際ニハ血液乳酸ハ少量注射ノ場合トハ反對ニ減少シ,注射直後及ビ3時間後ニハ平均30%以上ノ減少ヲ,6時間後ニハ19%ノ減少ヲ示ス.あせとあるでひーどハ著明ニ増量シセ注射直後ヨリ實驗ノ最後迄約250%ノ増加ヲ示セリ.あせとん體ハ少量注射ノ場合ト殆ド同様ナリ.11)いんてれにんノ少量注射ハ先ヅ含水炭素ソ嫌氣性分解ヲ起シ,次デ好氣性分解ヲ惹起スルモノヽ如ク,大量注射ニアリテハ始メヨリ好氣性分解ヲ促進スルモノヽ如ハシ.12)ひよりんノ前記三者ニ及ボス作用ハいんてれにんノソレト大差ナシ.13)あとにん注射後10-30分ニシテ家兎ハ不安トナリ,呼吸促迫シ耳靜脈ハ收縮シ,此ノ状態ハ約1時間持續ス.14)あとにん注射ニアリテハ,注射後30分ニシテ,血液乳酸ハ著明ニ上昇シ,此ノ上昇セル乳酸ハ3時間後ニハ減少シテ,正常値以下トナリ,6時間後ニモ殆ド此ノ値ニ止マル.此ノ初期乳酸上昇ハあとにんノ不安及ビ呼吸促迫ヲ惹起スル毒作用ニヨルモノト理解スルヲ得ベシ.15)あせとあるでひーどハあとにん少量注射ニアリテハ,30分後ニ著明ニ上昇シ,此ノ上昇セル,あせとあるでひーどハ時間ノ經過ト共ニ減少スレ共,6時間後ニモ尚正常値ヨリモ6%高シ.大量注射ニアリテハ30分後ニ29%増量ズレ共,3時間後ニハ19%,6時間後ニハ32%ノ減少ヲ示セリ.あせとん體ハ少量及ビ大量注射,何レノ場合ニモ注射後30分ニシテ著明ニ減少シ,其後漸次正常値ニ歸ル.16)此ノ結果ヨリあとにんハ含水炭素及ビ脂肪ノ酸化ヲ促進スルモノト思考セラル.17)ひぽほりんノ少量注射ニアリテハ血液乳酸及ビあせとん體ニ著變ナキニ,あせとあるでひーどノミハ實驗ノ始メヨリ終リマデ著明ニ増量シ,大量注射ニアリテハ之ニ反シテ血液乳酸及ビあせとあるでひーどハ始メヨリ減少スレ共,特ニあせとあるでひーどハ注射後6時間ニハ著明ニ増加ス.あせとん體ハ始メヨリ著明ナ増加ヲ示ス.18)ひぽほりんハ腦下垂體前葉ノ種々ノほるもんヲ含有シテ,單一ナルほるもんニ非ザルガタメニ,斷定ヲ下シ得ザレ共,適量ヲ注射セル場合ニハ,含水炭素ノ酸化分解ヲ促進スルモノヽ如シ.然レ共あせとん體ノ増加ハ脂肪ノ燃燒不全ヲ意味スルモノナリヤ,果又あせとあるでひーどヨリあるどーる縮合ニヨリテ生ゼルあせとん體ニ歸スベキモノカバ決定スルヲ得ズ.19)すぺるまちん注射ノ際ニハ血液乳酸ハ僅ニ増加スト雖モノ大ナル意義ヲ有スルモノニ非ズ.あせとあるでひーどハ少量注射ニアリテハ著明ニ増量シ,大量注射ニアリテハ,之ニ反シテ減少ス.あせとん體ハあせとあるでひーどト反對ノ像ヲ呈スト雖モ,其ノ増減ハ不著明ナリ.20)此ノ成績ヨリ,すぺるまちん少量注射ハ生體ノ酸化作用ヲ促進シ,大量注射ハ抑制的ニ作用スルモノノ如シ.21)おゝほるみん及ビおばほるもんノ作用ヲ明カニスルト同時ニ,他方新陳代謝ほるもんノ存在ヲ決定センガメニ,兩者ノ中間代謝産物ニ及ボス影響ヲ檢索セリ.22)おゝほるみん及ビおばほるもん注射ノ際ニハ血液乳酸及ビあせとあるでひーどハ減少シ,あせとん體ハ増加セリ.而シテ兩者ノ間ニハ質的ニモを亦量的ニモ差異ヲ認メズ.即チ卵巣ノ間質ニハ濾胞ほるもん以外ニ特ニ新陳代謝ほるもんヲ證明セズ.23)黄體ほるもんトシテハるてをぐらんどーる,あごめんじん,しすとめんじんヲ使用セリ.三者トモ中間代謝産物ニ及ボス作用ニ就テハ差異ヲ認メ得ザリキ,而シテ對照試驗ニ比シテ,乳酸減少率ハ稍々高ク,あせとあるでひーどノ増加率モ亦稍々高ク,あせとん體ハ對照ト殆ド差違ナシ.24)即チ黄體ハ濾胞ニ比シテ含水炭素ノ酸化ヲ促進スルコト強キモノヽ如シ.
- 京都府立医科大学の論文
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