生體内ニ於ケルぐるくろん酸ノ由來ニ就イテ
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概要
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曾テ抱合ぐるくろん酸ハ生理的又ハ病的何レノ尿成分ニモ屬セザルモノト考ヘラレシガ,Mayer u. Neubergニヨリ初メテ生理的尿成分トシテ少量ニ存在スルヲ發見セラレ,次イデFischer u. Pilotyニヨリぐるくろん酸ノ由來ガ葡萄糖ノ酸化物ナリト確定セラレタリ.サレドぐるくろん酸ハ生體内ニ於テタヾニ葡萄糖ノミヲ母體トスルヤ否ヤニ就イテハ種々議論セラレ,未ダ葡萄糖以外ノ物質ヨリぐるくろん酸ガ成生スルヲ確證シタルモノナシ.故ニ私ハ正常又ハ兩側内臟神經切斷家兎ニ就イテ或ハ飢餓セシメ或ハ葡萄糖又ハ照内ぺぷとんノミヲ以テ飼養シタル後かんふるヲ注射シ尿中ニ排泄セラル丶かんふおぐるくろん酸量ヲ測定スルト共ニ,總窒素並ビニ糖排泄量ヲ觀察シ,以テぐるくろん酸ノ生體内ニ於ケル由來ヲ攻究セント企テタリ.ソノ成績ハA)300-400gノ豆腐殻ヲ以テ飼養セル正常及ビ兩側内臟神經切斷家兎ニ於テハ1.01.5或ハ2.0gノかんふる注射ニヨリ尿中總窒素排泄量ハ僅カニ上昇ス(6-38%).サレギソノ上昇ハかんふをぐるぐうん酸ノ排泄量ト相並行セズ.糖尿ハ殆ンド惹起セラレズ.かんふをぐるくろん酸トジテ排泄セラル丶ぐるくろん酸ノ形成ハ1.0gノかんふるニツキ0.55-0.77gニシテ理論的形成量ノ43-60%ニ相當ス.B)毎日10gノ葡萄糖ノミヲ以テ飼養セル家兎ニ於テハ尿中總窒素排泄量ガ豆腐殼食ニオケルモノヨリ速カニ減少シ,飢餓ノモノヨリ一層小ナリ.即チ體蛋白ノ分解ハ葡萄糖送入ニヨリテ飢餓ニ於ケルモノヨリ低下ス.直接及ビ鹽酸ヲ以テ加水分解ヲ行ヘル尿ノ還元力ハ共ニ著シク増加ス.カクノ如クシテ7-12日飼養セシ家兎ニかんふるヲ注射シ尿中かんふをぐるくろん酸トシテ排泄セラル丶ぐるくろん酸量ハ1.0gノかんふるニツキ0.62-0.76gニシテ豆腐殻食ノモノヨリ僅カニ大ナリC)毎日10gノ照内ぺふとんノミヲ以テ飼養セル家兎ハ尿中總窒素及ビ糖排泄量ガ豆腐殻食ノ場合ト比シテ變化ナシ.サレド鹽酸ヲ以テ加水分解ヲ行ヘル尿ノ還元力増加ハ豆腐殼食ニオケルモノヨリ大ニシテ,葡萄糖飼養ノモノヨリ小ナリ.カクノ如クシテ7-12日飼養セシ後ニかんふるヲ注射シかんふをぐるくろん酸トシテ尿ニ排泄セラル丶ぐるくろん酸量ハ0.31-0.43gニシテ,ソノ價ハ豆腐殻食ノモノニ比シ著シク小ナルモ飢餓ノモノニ比スレバ殆ンド變化ナシ.D)家兎ノ飢餓ニ際シテハ兩側内臟神經切斷ノ有無ニカ丶ハラズ飢餓ト同時ニ尿中總窒素排泄量ハ俄カニ減少シ,然ル後再ビ稍々増加シテ死前窒素排泄上昇期ニ至ルマデ僅少ナル動揺ヲ示スノミ.而シテかんふるノ注射ニ際シソノ排泄ガ僅カニ増加スル事豆腐殼食並ビニ葡萄糖又ハ照内ぺぷとん飼養ノ場合ト同樣ニシテ,且かんふをぐるくろん酸ノ排泄ト量的並行關係ナシ,直接及ビ鹽酸ヲ以テ加水分解ヲ行ヘル尿ノ還元力ハ豆腐殼食ニオケルモノヨリ多少ノ度ニ増加ス.飢餓家兎ニかんふるヲ注射シかんふおぐるくろん酸トシテ排泄セラル丶ぐるくろん酸ノ形成ハ飼養家兎ト比スレバ遙カニ小ニシテ,飢餓ノ日數大ナルモノ程著明ナリ.5-13日ノ飢餓ハ1.0gかんふるニツキ0.32-0.46gノぐるくろん酸ヲ形成シ,理論的形成量ノ25-36%ナリ.同一ノ飢餓家兎ニ數日ノ間隔ヲ距テ丶二度ニ分チ同量かんふるヲ注射セバ長期飢餓ニ際シテ短期ニオケルモノヨリかんふをぐるくろん酸ノ排泄小ナリ.1.0gノかんふるニツキアル家兎ハ20日間飢餓シテ0.2gノぐるくろん酸ヲ形成シ,又他ノ家兎ハ7日間飢餓ノ後偶々死前窒素排泄上昇期ニ際會シテ0.32gノぐるくろん酸ヲ形成セリ.更ラニ又飢餓ノ末期ニ至リあどれなりんヲ注射スルモ最早糖尿ヲ惹起セザル状態ニマデ疲弊セシ家兎ニ於テ尚ヨク0.17-0.2gノぐるくろん酸ヲ形成セリ.飢餓實驗ノ終リニ葡萄糖或ハ照内ぺぷとんヲ與ヘシ家兎ハかんふるノ注射ニヨリかんふおぐるくろん酸ノ排泄ガ飢餓ニ於ケルヨリ多少増加スルヲミ,特ニ葡萄糖投與ニ於テ明カニ之ヲ實驗セシモ,Mayerガナセシ葡萄糖試驗ノ成績ト異リ,彼ノ如クソノ排泄ガ大トナリ動物ハ飢餓前ノぐるくろん酸生成能力ヲ復歸シタルモノナシ.以上ノ實驗成績ヨリ生體内ニ於テかんふるト結合スベキぐるくろん酸ノ母體トシテ葡萄糖又ハぐりこげんヲ承認スルト同時ニ,ぐるくろん酸ハ一部分直接又ハ間接ニ蛋白ヨリ發生スルヲ確證セリ.
- 京都府立医科大学の論文
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