二三痙攣毒素ニ對スル肝臟ノ解毒現象ニ就テ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
動物生體ハ若シ其ノ體内ニ有毒ナル物質ヲ生ジタル時或ハ外界ヨリ有毒ナル物質浸入スル時ハ化學的或ハ他ノ作用ニヨリ其ノ中毒ヨリ防護セントスル作用ヲ有スルモノニシテ,此ノ作用ハ生體ノ生命ヲ保持スル上ニ於テ甚ダ重要ナルモノナリ.古來肝臟ハ植物性あるかろいど及ビ諸種毒物ニ對シ解毒作用ヲ有スルモノト想像セラレ諸學者ニヨリ種々ノ方法ニヨリ研究セラレタリ.然レ共肝臟ガ果シテ個々ノ毒物ニ對シ解毒的ニ關與スルモノナリヤ否ヤノ問題ハ未ダ闡明セザル所少カラズ。茲ニ於テ余ハ犬ニ就キすとりひにん,ぴくろときしん及ビかんふるノ種々ノ量ヲ種々ナル方法ニ於テ投與シ以テ其ノ最少痙攣量ヲ定メ,次ニ同一ノ犬ニ就キえつく氏瘻孔ヲ造設シタル後同樣ノ實驗ヲ行ヒ,該犬ノ手術前後ニ於ケル最少中毒量ヲ比較シタリ.尋常犬ニ於ケルすとりひにんノ最少痙攣量ハ其ノ投與方法ニヨリ種々ナリ.即チ經口的投與ニ於テハ體重1瓩ニ就キ約0,7乃至1,3瓱,經直腸的投與ニ於テハ0,6乃至0,8瓱,皮下注射ニ於テハ0,22乃至0,3瓱ナリ.然ルニえつく氏瘻孔造設ニヨリ門脈循環ヲ除外シタル後ニ於テハ之等ノ最少痙攣量ハ甚ダシク減少セリ.即チ手術後ニ於ケル最少痙攣量ハ經口的投與ニ於テハ手術前ノ約1/3乃至1/2量,經直腸的投與ニ於テハ1/2量以下,皮下注射ニ於テハ2/3量以上ナリ.ぴくろときしんニ就テ行ヒタル實驗結果モ亦前者ト同樣ナリ.然レ共ぴくろときしんニ對スル犬ノ過敏度ハ個性ニヨリ甚ダ種々ナルニヨリ最少痙攣量ヲ定ムルコト甚ダ困難ナリ.大體ニ於テ犬ニ於ケルぴくろときしんノ最少痙攣量ハ經口的投與ニ於テハ體重1瓩ニ就キ4乃至10瓱,經直腸的投與ニ於テハ3乃至6瓱,皮下注射ニ於テハ1瓱ナリ.えつく氏瘻孔造設後ニ於ケル最少痙攣量ハ經口的投與ニ於テハ手術前ノ1/3乃至1/2量,經直腸的投與ニ於テハ1/2量,皮下注射ニ於テハ1/2乃至2/3量ナリ.かんふるニ對スル犬ノ過敏度ハ個性ニヨリ甚ダ種々ナリ.體重1瓩ニ就キかんふる0,5瓦ノ皮下注射ニ於テ既ニ痙攣ヲ起スモノアレ共又0,7瓦ニ於テ尚未ダ痙攣ヲ起サヾルモノアリ.かんふるノ作用ハ手術後ノ犬ニ於テハ手術前ニ比シ強ク出現ス.即チ手術前何等ノ作用ヲ見ザリシかんふるノ量ニ於テモ之ヲえつく氏瘻孔造設後ニ注射スルトキハ重篤ナル中毒症状ヲ出現シタリ.
- 京都府立医科大学の論文
著者
関連論文
- 牛精虫ノめちーれんぶらうニ及ボス作用に : 第三編 諸種藥物ノ影響
- 牛精虫ノめちーれんぶらうニ及ボス作用 : 第一編 牛精虫ノひどろげなーぜニ就テ
- 牛精虫ノめちーれんぶらうニ及ボス作用 : 第二編 いおんノ影響
- てとらひどろ-べーた-なふちーるあみんノ循環系統ニ及ボス作用及ビ其ノ血壓下降作用ノ本態ニ就テ
- 牛精虫ノめちーれんぶらうニ及ボス作用
- 二三痙攣毒素ノ解毒現象ニ就テ(第七十九回學術集談會演説抄録)
- あせとにとろぐるこーぜノ藥理的作用
- 二三痙攣毒素ニ對スル肝臟ノ解毒現象ニ就テ
- 精虫ノ酸化作用ノ研究(第六十九回學術集談會演説抄録)