諸種ノ條件ノ下ニ於ケル家兎血液あせとあるでひーどニ就テ
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概要
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乳酸ハ含水炭素ノ分解産物ニシテ動物細胞ハ無酸素時含水炭素分解ニ際シ之ヲ生成スルモノナル事ハ諸學者ノ研究ニ基キテ既ニ明カナリ.一方動物細胞ノ有酸素時含水炭素分解産物ノ内あせとあるでひーどハ必現的分解産物タル事ハのいべるひ及其門下ノ著名ナル研究ニヨリテ闡明セラレタルトコロナリ.然ルニ吾人ハ種々ノ條件ノ下ニニ於ケル生體内ノあせとあるでひーどノ態度ニ就キ未ダ之ヲ系統的ニ研究セル文献ヲ見ズ.之即チ本實驗ヲ施行シタル所以ナリ.實驗ノ結果ヲ總括スレバ次ノ如シ.(一)種々ノ状態ニ於ケル家兎血液内あせとあるでひーど量ヲ測定セリ.(二)正常家兎血液内あせとあるでひーど量ハ血液一立中一・二乃至四・二瓱ナリ.家兎二十九例ノ平均量ハ血液一立中ニ二・六五瓱ナリトス.但シ例外トシテ二例ハ正常血液内ニ於テあせとあるでひーどヲ認メザリキ.(三)兩側内臟神經切斷家兎血液あせとあるでひーど量ハ血液一立中〇・九乃至四・八瓱ニシテ其平均値ハ血液一立中二・六瓱ナリ,即チ正常家兎ト内臟神經切斷家兎トノ血液あせとあるでひーど含有量ニハ差異ナキモノノ如シ.(四)急激ナル血液損失ノ塲合ハ血液あせとあるでひーど量ハ著明ナル減少ヲ示シ,除々ニ血液ヲ採取スル塲合ハ之ニ反シテ血液あせとあるでひーど量ハ徐々ニ増加ス,採血ノ塲合ニ於ケル血液乳酸ト血液あせとあるでひーどトノ兩曲線ハ相反向ス.(五)正常家兎ヲ繩縛スル時ハ繩縛後一時間目ノ血液あせとあるでひーど量ハ何等ノ變化ナシ,繩縛後二時間目ニ至リテ著シキ増量ヲ來シ,之ノ増加ハ繩縛後五乃至六時間目迄繼續スルモ夫レヨリ次第ニ減少ス.即チ血液乳酸ト血液あせとあるでひーどトハ繩縛ノ際ニ於テモ又相映像ヲ呈ス.(六)内臟神經ハ繩縛ニヨル血液あせとあるでひーど量ノ變化ニハ特殊ナル影響無シ.(七)青酸中毒ノ際ハ血液あせとあるでひーど量ハ著シク減少ス.然レドモ其中毒症状ノ消失ニ伴ヒ血液あせとるあでひーど量ハ次第ニ増加ス.此際モ亦血液乳酸量ト血液あせとあるでひーど量トノ間ニ反對像ヲ認ムル事ヲ得.(八)兩側内臟神經切斷家兎ニ於テハ青酸ノ酸化抑制作用ハ正常家兎ニ於ケルヨリモ速ニ經過ス.(九)いんすりん注射ニヨリ血液あせとあるでひーどハ甚ダ著明ニ増量ス.其増加ハ注射後二時間目又ハ三時間目ニ於テ頂點ニ達シ夫レヨリ次第ニ減量ス.即チいんすりん注射後ニ於ケル血液乳酸ト血液あせとあるでひーどトノ兩曲線ハ正反對ニ走行ス.(十)兩側内臟神經切斷家兎ハいんすりんニ對シテ正常家兎ニ比シ甚シク鋭敏トナル,即チ1/2家兎單位ヲ注射スルモ例外ナク而モ早期ニ低血糖性痙攣ヲ來ス,其結果一定ノ成績ヲ得難シ.然レドモ中毒症状發現前ニ於テハ正常家兎ニ於ケルト同樣血液あせとあるでひーど量ハ増加ス.(十一)正常家兎ニいんすりんト青酸トヲ同時ニ注射スル時ハ注射後一時間目ハ青酸ノ効果優越スルガ故ニ血液あせとあるでひーどニ對スルいんすりん作用ハ只青酸ニ對抗スルニ止レドモ,注射後二時間目ニ於テハ青酸作用ハ既ニ消失シ始ムルガ故ニ血液あせとあるでひーどニ對シテハ主トシテいんすりん作用ノミ現ル.(十二)兩側内臟神經切斷家兎ニいんすりんト青酸トヲ同時ニ注射スル時ハ血液あせとあるでひーど量ノ變化ハ一定ノ結果ヲ得難シ.之レ該家兎ハいんすりんニ對シテ甚シク過敏ナレバナリ.
- 京都府立医科大学の論文
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