地質時代とともに増大する堆積速度
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概要
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生物による有機物生産量が小さかったと考えられる始生代の堆積岩に,顕生代の堆積岩と同じ程度の有機炭素が含まれている.Fig.1に示されているように,始生代の堆積速度が著しく小さかったとすれば,始生代堆積岩中の有機物高含有率の問題は矛盾ではなくなる.現在の河川によって海域に運びこまれる各元素の年間流人量と地質時代に供給された総量とから,それらを供給するに要した時間が計算できる.その値は海洋の歴史にくらべて短かすぎるという矛盾もまた,堆積速度の地史的変遷を考慮することで解決できる.この小論で指摘した堆積速度の地史的変遷は,地質学の根本問題につながるテーマであって,今後多くの資料をもとに具体的に明らかにされることが望まれる.
- 地学団体研究会の論文
- 1985-01-25