海底地辷りとそれに供う小褶曲の形成機構
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概要
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海底地辷りの形態が最近次々と明らかにされつつある.これらの地辷り体(blockあるいはsheet状)は厚さが極めて薄く,しかも相当に長いことが特徴的である.また,海底堆植物は一般に軟弱であると考えられるにもかかわらず,地辷り後も地層面等はさしたる変形も受けず良好に保持されている場合が多い.このような事実は辷り面にかなり高い間隙水圧が存在したと考えると,物理的にも合理的な解釈ができる.さて,野外で観察されるいわゆる海底地辷り褶曲のなかには表層辷りによるものでなく,明らかに被覆層の引きずりにより形成されたと考えられるものが多数ある.このような引きずり型褶曲は上記のような地辷り体(規模の程度の差はあろうが)の引きずりにより形成されたと見なす事もできよう.ことに劈開面ないしそれに類似した顕著な異方性をもつ堆積構造は,高い間隙水圧の存在が必要であったとされるのでこのような解釈が妥当である.
- 地学団体研究会の論文
- 1977-09-25
著者
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八木下 晃司
Department Of Geology Faculty Of Education Iwate University
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八木下 晃司
Department Of Geology Northern Illinois University