成熟した島弧系における現世河川砂堆積物の鉱物組成
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概要
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島弧系に由来する砂岩組成は, 火山岩片を中心とする岩片群に富み, 石英粒子が少ないのが特徴とされている.しかし, 日本列島のような成熟した島弧系の河川系には, それぞれの流域に火山岩類の露出が極めて少ないものも多い.筆者らはそのような2つの河川系に注目し, 阿武隅帯を流れる高瀬川と北部北上山地を流れる閉伊川において堆砂の鉱物組成を検討した.前者(高瀬川)では, 石英・正長石・斜長石が主な鉱物組成であり, 深成(花崗)岩片は極粗粒砂〜粗粒砂部分に顕著である.後者(閉伊川)では, 粘板岩やチャートの岩片が多いが, 長石類は極めて少ない.両者の河川系とも流下する距離が短いため, 主要構成鉱物の選択的な摩耗は発生しておらず, 流下に伴った顕著な組成の増加・減少は認められなかった.粒径と鉱物組成のモード比との関係, あるいはQFLダイアグラムと供給源の地質状況との関係, さらにテクトニックセッティングの設定などについても検討を行った.QFLダイアグラムとテクトニックセッティングとの関連性などは, Gazzi-Dickinson測定法によるべきであるが, 中粒〜細粒砂の粒径に限定すれば伝統的測定法によるデータも利用できると考えられるので, 筆者らは後者の測定法によって得られたデータを基にした.テクトニックセッティングを議論する際には, 個々の河川系の堆砂の鉱物組成ではなく, より広域的な見地からの検討が必要であるとの結論を得た.
- 日本地質学会の論文
- 2000-09-25
著者
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照井 啓介
Department Of Biology Faculty Of Education Iwate University
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八木下 晃司
Department Of Geology Faculty Of Education Iwate University
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韮沢 真弓
Mizusawa Junior-High School
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