洗滌培養法を用いた反応速度論的解析による表層土壌の現地窒素無機化量の推定
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概要
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スダジイ二次林における斜面位置の違いや伐採にともなう窒素無機化特性を検討するため,非破壊土壌試料による洗滌培養法を用いた反応速度論的解析から検討した。反応速度論的解析で得た各種パラメータと地温観測データを利用して,これら土壌の年間無機化量を推定した。また,同時に破壊土壌試料によるびん培養法を行い,表層土壌の窒素無機化におよぼす土壌攪乱の影響を検討した。可分解性の窒素量(N_0)は斜面上部の土壌で多かったが,尾根では無機加速度を示す速度定数(k)が大きく,見かけの活性化エネルギー(Ea)は小さく無機化されやすかった。深さ5cmまでの単位面積あたりの年間窒素無機化量は13.5〜38.5kg ha^<-1>yr^<-1>であり,尾根の無機化量が大きかった。伐採地では速度定数が小さく,活性化エネルギーが同じ尾根にある林内の非伐採地の土壌に比べて大きくなったことから,無機化量(N)は小さくなった。さらに無機化プールに対する年間窒素無機化量の割合を示す無機化率(N/N_0)が非伐採の林内尾根や斜面上部より小さく,回転速度が遅くなった。一方,硝化率が非伐採地に比べて高く,硝化活性が伐採により高まった。土壌の攪乱を伴う破壊土壌を用いたびん培養法よる無機化量は非破壊土壌から求めた洗滌培養法の2.5〜3倍あり,無機化率は洗滌培養法で1.0〜3.1%,びん培養法で5.4〜7.5%とびん培養法で高かった。
- 森林立地学会の論文
- 2004-12-25
著者
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