発達障害児の特別なニーズと家族支援
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概要
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広汎性発達障害の子どもは感覚の過敏さ,全体知覚の困難さ,「心の理論」の獲得の困難などによって,学校生活を送る上で様々な困難を感じている.また,発達障害の子どもをもつ保護者も,子どもとの愛着関係の築きにくさや子どもが起こすトラブルなどによって,心身ともに疲弊する状況をしばしば体験している.それと同時に,保護者の中にも発達障害をもつ人もおり,そのことによって子どものニーズに応答した子育てが困難になる場合も存在している.家族支援の際には,保護者の苦悩や葛藤をまずは共感的に理解していくこと,子どもの肯定的な部分を伝えたり,具体的な関わり方を示していくことによって子育てへの見通しをもてるように援助していくことが重要である.ただし,発達障害をもつ保護者の中には熱心に子育てしているにもかかわらず,かえって子どもの発達を阻害する関わりになっている場合もあり,時には保護者との分離と代替的家族的ケアが必要な場合も存在している.いずれにしても,保護者が他者との"つながり"を支えにして子育てへの見通しと希望を育んでいけるように援助していくことが大きな課題である.
著者
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