潮風の下で : レイチェル・カーソンの最初の海の宝箱
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
レイチェル・カーソン(Rachel Carson,1907-1964)の最初の著作である『潮風の下で』(Under the Sea-Wind,1941)は、作家としての才能と科学者としての見識が最もよく融合した作品として評価すべきである。本稿では次の二点から『潮風の下で』の文学性を検証した。(1)A.C.スウィンバーン(A.C. Swinburne)やジョン・メイスフィールド(John Masefield)の詩の要素の効果的な利用(2)語りの視点の工夫カーソンは海を題材にしたスウィンバーンやメイスフィールドの詩を愛読したことを公言しているが、『潮風の下で』には、題材や情景描写の選択に彼らの影響がみられるだけでなく、韻律においてもスウィンバーン同様に頭韻が多用され、詩的効果をあげている。また、カーソンは作品各部で特定の鳥や魚を主要な登場人物として設定し、その生物の視点を借りて海の世界を描くことで、科学者としての正確さを犠牲にすることなく、海の世界を読者に身近なものにすることに成功した。
著者
関連論文
- 湖水地方とナショナル・トラスト(2)
- 潮風の下で : レイチェル・カーソンの最初の海の宝箱
- 湖水地方とナショナル・トラスト(1)
- カーソンと海を愛した詩人たち
- 『崖の上のポニョ』 : 海辺の生命の物語
- 宮崎駿映画における境界の世界と「水」の役割
- 『潮風の下で』--レイチェル・カーソンの最初の海の宝箱