2.日本における終末期がん患者の家族のケアに関する文献的考察
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概要
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本研究は,終末期がん患者の家族の看護に関する研究の動向を明らかにするとともに,終末期がん患者の家族に対する看護のあり方を考察することを目的とした.対象研究論文は,1996年から2005年の10年間に掲載された看護職による研究で,キーワードを「がん」「末期」「終末期患者」「緩和ケア」「家族」に設定して検索を行い,抽出された文献のうち,テーマに関わりが深いと思われるもの58件である.各研究論文の家族ケアの内容については,時期毎に行われた援助項目や介入した看護内容を抽出し,その援助項目や看護内容のなかで類似したものをグループに分類してカテゴリー化した.分析の結果,研究論文の家族ケアの内容は,【家族への身体的・精神的サポート】,【家族の治療・ケアへの参加】,【環境調整】という共通した3つのカテゴリーが抽出された.ターミナル前期〜中期の主な援助には,【家族への身体的・精神的サポート】として『家族と関係を築く』『家族に接する』『声かけをする』『傾聴する』『感情の表出を促す』『家族間を調整する』『家族と面接・面談をする』『家族の健康状態への配慮を行う』『家族が看取るための助言をする』があった.【家族の治療・ケアへの参加】については『家族にケアを促す』『ケアを一緒に行う』『患者の状態を説明する』という援助が上げられていた.【環境調整】は,家族で過ごす時間を確保できるように『環境に配慮する』というものであった.後期〜死亡時の主な援助には,【家族への身体的・精神的サポート】として家族が患者を看取るために助言をしたり,家族にケアを促すことがあった.直前期の援助では,感情の表出を促したり,患者の状態を説明し,家族が患者のそばにいられるように環境を整えることが主な援助内容であった.死亡時の援助では,家族の精神的な支えとなり,死後の処置を一緒に行うことが主な援助内容であった.終末期がん患者をもつ家族へのケアは,家族の心理状態を理解しながら行っていくことが大切であることが示唆された.
著者
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中川 雅子
京都府立医科大学医学部看護学科
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笹川 寿美
京都府立医科大学医学部看護学科
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中川 雅子
京都府立医科大学附属病院
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小谷 亜希
京都府立医科大学医学部附属病院
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笹川 寿美
京都府立医科大学 医学部看護学科
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笹川 寿美
京都府立医科大学附属病院
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