初回外傷性肩関節前方脱臼の治療
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概要
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肩関節(肩甲上腕関節)は,主に軟部組織や関節内陰圧により安定性を得ているために最も脱臼が多い関節で,その中で前方脱臼が98%を占める.外傷性肩関節前方脱臼の病態は,主に上腕骨頭から下関節上腕靱帯(Inferior glenohumeral ligament:IGHL),関節唇,関節窩縁等で構成される肩甲上腕関節の前下方の支持機構の損傷(Bankart lesion)である.初回外傷性肩関節前方脱臼の経過はBankart lesionの修復が最も影響し,整復後の固定やリハビリテーションの効果は議論が多いところである.そこで,スキー場でのスキーやスノーボード傷害で最も多い傷害の一つのレクレーションレベルのスキー・スノーボードによる外傷性肩関節前方脱臼の予後についてアンケート調査を行い,反復性脱臼に移行する要因について検討し,その治療法について考察した.初回外傷性肩関節前方脱臼128肩の再脱臼率は23.4%で,過去の報告と同様に年齢,固定期間が影響していた.受傷側の肩甲帯の活動性を抑制することで短期的には再脱臼現象を防ぐことが可能であり,愛護的な整復後の外旋位固定は自然治癒が期待出来る症例もある.しかしながら,若年アスリートや活動性の高い若年者では,初回外傷性肩関節前方脱臼の再脱臼率は高率で,競技の継続には手術療法が考慮される.手術療法の成績は安定しており,近年の鏡視下手術の発展で,より低侵襲で確実な修復術が可能となっていることから,適切な治療の選択が重要となる.
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