大学生のアルコール乱用予防の「文化的パラドックス」を探って(教育心理)
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概要
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過度の飲酒やその他アルコールに関連した様々な問題は、日本をはじめ、他の国々においても大学生の間に蔓延している。現代社会において、予防し得る罹患や死亡の第一の原因がアルコールの乱用であるにも拘わらずである。世界中の多くの国々と同様、日本もまた未成年者(20歳以下)のアルコール使用を取り締まっている。しかし、マリファナやコカインのようなハード・ドラッグは所持しているだけで厳しく罰せられるのに対し、日本のアルコールの取り締まりはかなり甘い。このような日本の社会は未成年者を含む大学生の「飲みの文化」を黙認していると言えよう。このことから、大学のキャンパスでのアルコールの乱用ならびに過度の飲酒に対する予防的介入は、近年浮上してきた予防科学の分野から見ても「文化的なパラドックス」であると考えられる。本研究の目的は二つある。一つは様々なレベルでの文化的・コンテクスト的な変数が、日本の大学生のアルコール乱用予防に対する態度に与える効果を検討することにより、日本というコンテクストの中の予防と文化の関係を検討することである。もう一つは今後、日本の大学生を対象とした文化に根付いた予防介入を開発し、実行するための示唆を与えることである。国際基督教大学での全学調査から得られた552名の大学生回答者の結果から、学校が学生の飲酒を規制することに対する大学生の態度は、予測されたものよりも悪く、逆に学校が学生の喫煙を規制することに対しては許容的であることが明らかになった。また、これらの態度に関連する変数を用いて重回帰分析を行ったところ、個人的および環境的な要因が、大学が健康促進や予防対策を行うことに対する学生の態度を説明することが示された。これらの結果を日本の文化と予防の関連という視点から論じ、日本の大学というコミュニティーへの予防的介入の示唆を与えた。
- 国際基督教大学の論文
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